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「買います」と返事をしたにも拘らず、売主は、第三者に売ってしまった・・・話【No.186】
守男(仮称)は、中古住宅を探していた。仕事柄
転勤が多く、外国勤務もあったりする。
子供や妻のことを考えて、更に将来の資産の事を考えて
悩んでいた。
そんな時、通学にも便利で、手頃な中古住宅があり、
一大決心をし、買う事に決めた。建物の内部も見せて貰い
契約の意思を固めた。
契約書を交わし、融資申込をすると、融資の実行は
出来ないという連絡があった。
訊くと、物件が「仮差押え」を受けていると云う事だった。
大慌てで本人に確かめてみると、「一時的にお金を借りただけで。
差押えはすぐ抜けるので大丈夫ですよ」と言われたが、
知人に訊くと「銀行は一番抵当でなければ融資はしないのではないか」
とも言われ不安になった。
登記法上は、「登記された者が権利を有し、保護される」となっています。
即ち、契約しても、守男は登記上は未だ所有者として第三者に抵抗
出来ないのです。
所有権の移転は、「最終金を支払う」、「権利証を渡す」事を
同時に行う、同時履行と云われるものです。
実行日迄にこの様な手続きが確実になされる事に留意し、
物件(中古住宅)、債権(代金)が、それぞれ義務者として責任を
果す事を待たなければなりません。
守男は、融資を分けて、差押え権利者分、売主分へと対策をとって
処理できたが、それが出来ない場合もあり注意が必要となります。
(参照)民法177、民事執行法48